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2025年2月19日
アメリカの伝統技術『スプリングボード伐採』 – 巨木を切り倒す職人技と競技文化
本日の林業の魅力シリーズ第176弾では、アメリカの伝統的な伐採技術
「スプリングボード伐採(Springboard Logging)」を紹介します。
この技術は、19世紀から20世紀初頭にかけて、アメリカ西海岸のカリフォルニア州、
オレゴン州、ワシントン州の森林で盛んに行われました。
当時の林業は、直径2メートルを超える巨大なレッドウッド(セコイア)や
ダグラスファー(モミの一種)を伐採する必要があり、
単純に地面から伐るだけでは作業が困難でした。
そこで考案されたのが、「スプリングボード(足場板)」を幹に打ち込み、
その上に立って作業する方法です。
現在ではこの技術はほとんど使われていませんが、林業競技として受け継がれ、
その技術と歴史が今も伝えられています。
1. スプリングボード伐採とは?
〇巨木伐採のための工夫
19世紀から20世紀初頭、アメリカ西部の林業では、高さ80メートル、
直径2~4メートルにも及ぶ巨木を伐採する必要がありました。
しかし、これらの木は 根元が膨らんでいる ことが多く、
そのまま地面から伐採すると作業が難しくなるため、
スプリングボード(足場板)を使って、幹の上部から伐るという技術が生まれました。
〇スプリングボード伐採の工程
幹に「ノッチ(切り込み)」を入れる
→ 木の幹に斧でV字型の切れ込みを作る。
スプリングボード(足場板)を差し込む
→ 切れ込みに厚い木の板(スプリングボード)を差し込み、伐採する木こりが立つための足場を作る。
2~3段の足場を設置し、伐採を開始
→ 地上3~5メートルの高さから、大鋸(クロスカットソー)を使い、木を切り倒す。
慎重に伐倒方向を調整する
→ 受け口(切れ込み)を入れて、木が倒れる方向をコントロール。
2. なぜスプリングボード伐採が必要だったのか?
① 巨木の根元は太すぎる
レッドウッド(セコイア)やダグラスファーは、根元が非常に太く膨らんでいるため、
低い位置から伐ると作業が困難。
そこで、細くなった上部から伐ることで、労力を減らす工夫がされました。
② 湿地帯や腐食の影響を避ける
湿地が多い場所では、根元が腐っていることがあるため、
高い位置から伐ることで良質な木材を確保。
地面の泥や湿気の影響を受けにくい位置から伐採できる。
③ 木材の搬出をしやすくする
地面近くから伐ると、切り株が大きくなりすぎるため、運搬や加工に不便だった。
高い位置から伐ることで、切り株の大きさを最小限に抑えられる。
3. 現代のスプリングボード伐採 – 競技としての進化
現在では、チェーンソーや大型伐採機械の発展により、
スプリングボード伐採はほぼ使われなくなりました。
しかし、「スプリングボード競技」 として林業技術の伝統を受け継ぐ形で残っています。
林業競技「スプリングボード チョッピング」
・世界各地の伐採競技大会で行われる伝統種目
・競技者は 斧を使い、スプリングボードを設置し、最上部から木を切り倒すスピードを競う。
競技のルール
・木の幹に 2~3段のスプリングボードを設置。
・一番上まで登り、斧で木を切り倒す。
・最速で伐倒した選手が勝者!
競技の見どころ
・圧倒的なスピードと正確な斧さばき
・高所でのバランス感覚が求められる
・体力と技術の両方が試される
人気の大会
・STIHL TIMBERSPORTS® Series(スティール・ティンバースポーツ・シリーズ)
・カナダ・オーストラリア・アメリカで開催される林業競技大会
この競技は、単なるスポーツではなく、かつての林業の伝統を未来に伝える役割を果たしているのです。
林業の魅力シリーズ第176弾では、
アメリカの「スプリングボード伐採」 について紹介しました。
19世紀のアメリカ西部で発展したこの伐採技術は、
林業の進化とともに消えていきましたが、
今も競技としてその技術が受け継がれています。
スプリングボード伐採の学び
・巨木伐採の工夫と知恵
・林業技術の進化と機械化の影響
・伝統を守る競技文化の重要性
過去の技術を知ることは、未来の林業を考えるヒントにもなるはずです。
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間のダイジェスト!
ぜひご覧ください。
※職業人講和アーカイブ