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2025年4月23日
木を呼ぶ道具-アオリ鉞の知恵と技
水曜日は、古来から伝わる伝統や技術、道具を紹介する日です。
第219弾では、かつて日本の山林で広く使われていた伐採道具
「アオリ鉞(まさかり)」に注目します。
機械化が進んだ現代林業においては、チェーンソーが
主役となっていますが、木を倒す方向を読み、
木の性質と対話する技術として、
アオリ鉞は今も静かに語り継がれています。
アオリ鉞とは何か?
「鉞(まさかり)」は、日本古来の伐採用の斧。
その中でもアオリ鉞は、刃の片側が大きく張り出した非対称な形状を
持っています。
用途:木を倒す際、狙った方向へ正確に導くために使う
特徴:刃の左右が非対称になっており、
木の繊維に沿ってアオリ(煽り)を加えるように使う
別名:「アテ鉞」「方向鉞」など地域によって呼び名が異なる
この道具は、単なる伐採のための道具ではなく、
“木を呼ぶ”ための道具とも言われてきました。
木を呼ぶとはどういうことか?
昔の山師たちは、「木を伐る」とは言わず、「木を呼ぶ」と言いました。
それは、山の中で木を選び、方向を読み、木の命と向き合いながら伐る-
まさに山との対話だったのです。
アオリ鉞はその象徴的な道具。
最初の一撃を入れる「迎え斧」
伐る前に木に手を当てて語りかける儀礼
倒れる瞬間に「ありがとうございました」と声をかける文化
これらは単なる作業ではなく、自然と共に生きる心構えの表れでした。
現代に活かすアオリ鉞の技
現在、アオリ鉞はほとんどの現場で使われていませんが、
一部の伝統伐採技術の継承者や木造建築にこだわる大工職人たちの間では、
その価値が見直されています。
木の繊維(ねじれ、節、曲がり)を読む力を育てる
音、感触、割れ具合から木の中を想像する訓練
機械にはできない「感覚的な判断」を学ぶための教材にもなる
道具そのもの以上に、そこに宿る知恵と観察力が、
今の林業や木工の世界でも貴重な財産となっているのです。
林業がデジタル化・機械化されていく時代だからこそ、
「アオリ鉞」のような伝統道具に込められた感覚と思想が、
改めて注目されています。
木を切るのではなく、木を呼ぶ。
それは、人間が自然と共に生きてきた記憶を
たどる行為でもあります。
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間のダイジェスト!
ぜひご覧ください。
※職業人講和アーカイブ