2025年4月26日
ログハウス講座「ログワーク編」がひと段落し、
仕上げ工事編に進む前に、今回は少し寄り道して
世界のログハウス文化を巡るバーチャル旅行に出かけましょう。
北欧の森、ロシアの大地、アメリカの開拓地、そして日本の山里-。
気候、文化、生活スタイルに合わせて発展してきたログハウスの多様性を
感じていただける内容です!
🇳🇴 北欧(ノルウェー)── 草屋根に守られたログの家
北欧では古くから「グラスルーフ(草屋根)」を持つログハウスが発展しました。
厳しい寒さと雪の重みに耐えるため、屋根に草を植えて断熱効果を高めた
雨や雪が降っても草が吸水し、屋根材を守る仕組み
建材はスプルース(トウヒ)やパイン(マツ)などの針葉樹
この伝統は現代でも引き継がれ、環境に優しい建築として再評価されています。
草屋根に覆われたログハウスは、北欧の自然と共生する知恵の結晶です。
🇷🇺 ロシア── イーゼバ(Изба)に見る堅牢な暮らし
ロシアの伝統的なログハウスは「イーゼバ(Izba)」と呼ばれます。
厳寒のシベリアに耐えるため、丸太を厚く重ねる
丸太の隙間には苔や麻を詰めて断熱効果を高める
暖房には大型の石製オーブン「ペチカ」を設置
ロシアのログ建築はまさに寒さとの闘いの産物。
強固な壁と温かな内部空間は、極寒地域での知恵そのものです。
🇺🇸 アメリカ── フロンティア精神が生んだ開拓ログ
アメリカでは17~18世紀、ヨーロッパ移民が開拓地に簡素なログキャビンを
建てたことが始まりです。
ツーバイフォー材が手に入るまでは丸太をそのまま使用
シンプルな角ノッチで短期間で建設
「自力で家を建てる」開拓精神の象徴
アメリカのログハウス文化は、後に西部開拓史やアメリカンドリームの一部として
語られるようになりました。
🇯🇵 日本── 高床式建築とログの思想
一見、ログハウスとは縁遠そうな日本ですが、実は弥生時代の高床式倉庫に、
木材を積み上げる発想が見られます。
丸太や角材を水平に組む技術が存在
湿気・害虫対策のために床を地面から高くする
さらに、前回取り上げた正倉院の校倉造りも、日本版ログ構造と言えるでしょう。
自然との共生を重視する日本の木造建築思想は、ログハウス文化とも深くつながっています。
まとめ:世界に広がるログの知恵
ログハウスは、単なる建物ではありません。
森林資源を最大限に活かす工夫
その土地に適応した暮らし方
自然と共生するための知恵
北欧の草屋根、ロシアのイーゼバ、アメリカの開拓ログ、日本の高床式。
それぞれの地域が自然と向き合いながら独自に進化させてきたログ文化は、
現代の私たちにも多くのヒントを与えてくれます。
次回は、さらに深く掘り下げた番外編をお届けしますので、お楽しみに!
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間をダイジェストでまとめました。
ぜひご覧ください。