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2025年4月18日
『木を見る西洋人 森を見る東洋人』-思考の森に分け入る
金曜日は、林業や自然、森林に関する本を紹介する日です。
第216弾では、文化や思考の違いを森と木になぞらえて語る、
リチャード・E・ニスベット著『木を見る西洋人 森を見る東洋人』を取り上げます。
この本は、自然や森に関わる私たち林業関係者にとっても、
「ものの見方」を根本から考え直すきっかけになる一冊です。
書籍概要
原題は『The Geography of Thought: How Asians and Westerners Think Differently... and Why』。
著者はアメリカの社会心理学者、リチャード・E・ニスベット。
本書では、東洋人(日本、中国、韓国など)と西洋人(欧米諸国)の思考の傾向の違いを、
「木」と「森」という比喩を通して明快に説明しています。
西洋人は、個々の木に注目し、分類や分析を重視する「要素還元的」な思考
東洋人は、森全体を見て、文脈や関係性を重視する「全体論的」な思考
これを読めば、自分が「どちらの見方をしているか」に気づかされると同時に、
他者の考え方を理解する視点が得られます。
林業と森の見方への応用
この本が林業とどう関係するのか?
実は非常に深い結びつきがあります。
木を切る判断:1本の木の成長や病気を見るか、森全体の生態系バランスを見るか
森の活用:間伐材一本一本の価値を見るか、流域全体の水源涵養機能を考えるか
山の整備:1本の倒木への対応か、長期的な森の育成戦略か
私たちが日々接している森林管理にも、
「木を見る視点」と「森を見る視点」の両方が必要です。
この本を通じて、自分がどちらに偏っているかを意識し、バランスの取れた林業や
環境教育の在り方を考えることができます。
教育・地域・国際協力にも広がる視点
環境教育では、子どもたちに「森のしくみ」だけでなく、
「1本の木の物語」にも注目してもらうことが大切。
地域づくりでは、森林資源という“部分”と、
持続可能な地域社会という“全体”のバランスが問われます。
国際林業協力の現場では、この思考の違いを理解しておくことが、
文化の衝突を防ぐ鍵になります。
『木を見る西洋人 森を見る東洋人』は、
林業を技術だけでなく「思想」としても捉える視点を与えてくれます。
「木を見て、森を見ず」と言いますが、
ときに「木を見る力」と「森を見る力」の両方を育てることこそ、
これからの林業に求められている力なのかもしれません。
森の中で、あなたは今、木を見ていますか? 森を見ていますか?
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間のダイジェスト!
ぜひご覧ください。
※職業人講和アーカイブ